2013年4月16日火曜日

再会



マリーナ・アブラモヴィッチというパフォーマンスアーティストがいます。
自分の体に暴力を加えるなど過激な作品でも知られているようですが
わたしは越後妻有アートトリエンナーレ2012で初めて彼女の作品に触れました。
夢の家」という宿泊できる体験アートがあって
宿泊はしなかったのですが、古民家に一歩足を踏み入れると
そこにはものすごい非日常空間が広がっていました。
赤や青のひかりに包まれた部屋で特別なパジャマを着て
まるで棺桶のようなベッドで眠り、その夜見た夢を記す、という作品でした。

先日あるブログでたまたまこの映像と彼女の名前をみかけました。
2010年にMOMAで発表された”The Artist Is Present”という作品の映像記録の一部です。
展示スペースにはただただ静かに彼女が椅子に腰掛けていて
来場者がひとりずつ無言のまま向かい合わせに座り
思い思いの時間を過ごして次の人がまた座って・・・というのを
約2ヶ月半、開館している間ずっと続けたのだそうです。

この映像には、彼女のかつてのパートナーだったUlay氏が
思いがけず彼女の前に現れたときの二人の様子が収められています。
1970-1980年代に共に作品を生み出していた彼らが関係の終わりに
それぞれが万里の長城の両端から歩き始めて2000km以上の旅の果てに出会い
さよならを言って別れ、二人が会ったのはそれが最後だったのだそうです。
数十年を経ての再会、無言の中にあふれる感情が伝わってきました。

うまく表現ができませんが、私はとても深いあたたかさを感じました。
彼女の人生そのものがパフォーマンスアートなのかもしれません。

出会いの数だけ別れがあって、でもほんとうに繫がっている人とは
なにかのかたちで必ず再会があるものと私は信じています。

※この映像は”A CUP OF JO”というブログで紹介されていました。


4 件のコメント:

たかはしまいこ さんのコメント...

人間の巡り逢い自体が、アートそのものなんですね。
すごいものをみせていただきました。
ありがとう!!

モルペン さんのコメント...

今朝の情報番組で、日本は目を合わせられない文化だと言っていました。女性の感情がさざ波のように広がる表情、そらさない目が印象的でした。
ホントにすごいものをみたわ。

かえる洋裁店 / Kaëlle Clothing さんのコメント...

たかはしまいこさんへ
見てくれてありがとう^_^
ひとりひとりの人生もアートですね。

かえる洋裁店 / Kaëlle Clothing さんのコメント...

モルペンさんへ
目は多くを語るんだなぁと改めて思いました。たしかに、じっと目を合わせるのはちょっと覚悟が要ります。日本語という言語ともなにか関係がありそうですね。

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