2013年3月30日土曜日

瀬戸内アートをめぐる春の旅

・3月20日〜24日に瀬戸内国際芸術祭2013へ行ってきました。

今年で入籍10周年、のんびりすてきな記念の2人旅となりました。
たくさんの写真で長い日記になってしまいました。
お時間のあるときにのんびりお付き合いいただけたらうれしいです。


1日目:
朝9時半くらいに金沢を出発して高松に着いたのは夕方4時半くらいでした。
久しぶりのグーちゃんロングドライブでしたが渋滞もなく順調なスタートです。
高松港フェリーターミナル近くの無料駐車場にグーちゃんを駐めて
港付近をすこしお散歩しました。

夕暮れ時の高松港フェリーターミナル。



左:北浜alley 右:玉藻公園(高松城趾)

夜ごはんは「一鶴」というお店で
骨付の鳥もも肉を豪快に焼いたのをビールと一緒にいただきました。
”おやどり”はすごい歯ごたえ、”ひなどり”は柔らかジューシー
一本ずつ両方味わってみました。ビールにピッタリ、美味しかったです。


2日目:
朝5時から営業している高松駅付近のうどん屋さんで朝ごはんを食べ
一番早い便のフェリーで直島へ向かいました。




直島・宮浦港で草間彌生さんの赤かぼちゃが出迎えてくれました。
港からベネッセハウス ミュージアムへ向かいました。




国吉康雄展」が開催されていました。そのため常設展示は観ることができませんでしたが、ベネッセアートサイト直島の原点となったという画家の作品に触れられたのは貴重な機会だったと思います。戦前戦後をアメリカで過ごした彼が残した言葉の数々も紹介されていて苦悩や葛藤を垣間見る思いでじっと読み込んでしまいました。この絵は晩年の作品でそれまでの作風とだいぶ違います。不思議な絵です。実際にみると色が何度も塗り重ねられていて、とにかく鮮やかで透明感があって、絵の前に置かれていた椅子に腰を下ろしてしばし向き合いました。朝の静かなひとときを過ごしました。

ベネッセハウス ミュージアムは美術館とホテルが一緒になっていて
美術館に宿泊ができるというすばらしい発想を実現してくれているところです。
たまたま早い時間に部屋へ通していただくことができました。
部屋から穏やかな美しい瀬戸内の海を眺めることができます。



ミュージアムカフェの美味しいコーヒーでひと休みした後で
ベネッセハウス周辺をお散歩しました。
丘に浜辺にアート作品が景色に溶け込むように点在しています。



つつじ荘横を通って本村港までのんびりてくてく20分くらい歩きました。
「家プロジェクト」”角屋””南寺”に立ち寄りました。
南寺での体験はまさに非日常でした。
薄明かりすらない本当の暗闇に入ると視覚以外の感覚が動き出して
普段いかに視覚に多くを頼っているのかを気づかされました。
置かれた状況に順応する能力の不思議も体験できました。

ベネッセアートサイトの多くの建物を設計している
安藤忠雄さんの直島での活動などが紹介されている
”ANDO MUSEUM”へも行ってきました。

町営バスに”農協前”から”生協前”まで乗って
Hさんの思い出の味、山本うどんさんへ行きました。
本場の讃岐うどんってすごい。麺の味をかみしめながら頂きました。

宮浦港まで歩いて戻りました。
フェリーターミナルにある海の駅なおしまの建物は、
金沢21世紀美術館の設計をしたSANAAの建築で
海風が吹き抜けるような開放的な雰囲気がすてきでした。
見慣れた椅子を海辺で観るのもおもしろかったです。



天気が良い日に行こう、とのHさんの英断で予定を変更して地中美術館へ行きました。

(館内は写真撮影禁止なのでご紹介できないのですがリンクページで俯瞰写真など見て頂けます)
景観になじむ建築として大半が地下に埋まっているのですが
陽のひかりや空をとても感じることができる空間でした。
制限されると逆にその存在をより強く感じるのは南寺の体験と同じかもしれません。
ぜひもう一度、違う時間に訪れてみたいと思いました。

ベネッセハウスミュージアムへ戻ってウェルカムシャンパンを頂いて
楽しい気分でミュージアムツアーに参加してみました。
絵を前にスタッフの方が参加者に質問を投げかけて
それぞれの感想を自由に交換するスタイルのツアーで
他の人がその絵に感じたことを垣間聞くことで
あたらしい見方に出会える体験ができました。



夜はミュージアム内で和食と地酒をゆっくり楽しみました。
とても贅沢な時間が過ごせた一日となりました。


3日目:
朝ごはんの前にミュージアム周辺をお散歩しました。


朝の瀬戸内海をゆくタンカー。島つつじの花がひっそりと咲いていました。
目にもからだにも美味しい和の朝ごはんをゆっくりいただいて
高速船に乗って豊島へ向かいました。
港で電動アシスト付自転車をレンタルして豊島美術館を目指しました。
レンタル屋さんのおじさんの言うとおり、ひたすらずっとずーっと上りです。
普通の自転車ではわたしは最後まで辿り着けなかったと思います・・・。
坂を上ってゆく途中、遠くの丘に豊島美術館の姿がみえました。

そしてこの坂を下ると、到着です。

美術館受付でチケットを買って入ります。

丘をぐるりとひとまわりするアプローチを進むと
瀬戸内海の美しい景色にも自然と目が向けられます。


写真を撮れるのはここまで。
靴を脱いでルームシューズに履き替えて中に入ります。

たったひとつの作品のための美術館。
NHKの番組で観てどうしても訪れてみたかった場所でした。
不思議と訪れる人みな無言でひとりひとりが思い思いの場所で
思い思いの過ごし方をしている、その姿も作品の風景となっていました。
Hさんと2人寒さも忘れ、無言のまま気づいたら1時間ほどを過ごしていました。

我に返って体が冷え切っていることに気づいたので
カフェで豊島産レモンのホットレモネードをいただきました。
体に染み入るおいしさですっかり暖まり元気になりました。

唐櫃岡(からとおか)まで戻って島キッチンでお昼を食べました。
店内のオープンキッチンではシェフを中心に島のお母さん達が
忙しそうに手を動かしていました。島の野菜が美味しかったです。

ちょっと変わった石垣。ヘリンボーン柄ですね。

水道も冷蔵庫もなかった時代、島の暮らしの中心にあったという「唐櫃の清水」
隣り合う神社にもアート作品が佇んでいました。
越後妻有の神社でも同じ作家さんの作品に触れました。


豊島美術館は時間や天気によって表情がかわるので
当日に限って再入館できるとのことだったので
おひさまが雲に隠れてさらに寒くなってきてはいましたが
もういちどあの空間に身を置いてみたくて行きました。
そしてもう一度ホットレモネードで暖まりました・・・。



途中”トムナフーリ”という不思議な作品に立ち寄りながら
早めに港まで戻って直島行きの高速船に乗りました。
数を絞って観たい作品をじっくり鑑賞した1日でした。

この日の宿泊はベネッセハウス パークです。
夜のアートスペースやレストランをゆっくり楽しんだ後、
”オーバルバー”へ出かけてみました。
建物までの行き方がまずとてもユニークで
大きな水面を客室のドアがぐるりと囲んでいて
静かな空間の中で絶えず流れる水の音が印象的でした。
写真撮影禁止と思い込んでカメラを置いていってしまったのですが
ここは写真を撮っても良かったそうでちょっと心残りです・・・。




4日目:
この日の始まりは少し曇り気味の空でした。

朝のパーク散歩です。


午前のうちにもう一度地中美術館へ出かけました。
ベネッセハウスに宿泊するとあらかじめ翌日分の入場整理券をいただけるのと
さらに地中美術館と家プロジェクトに再入場できるとのことで
これはとてもうれしかったです。

おとといに比べて訪れる人の数がものすごく増えていて驚きました。
各作品を見るにも入場待ちの列が出来ていて話し声がにぎやかで
個人的には人が少なく静かな平日の雰囲気が好きでした。
不思議なことにスペースとスペース、建物と建物をつなぐ空間は
おどろくほど人も少なく静かで深呼吸したくなる空気がありました。

家プロジェクトの続きを観に本村港エリアへ移動しました。
作家さんの染めたのれんが街の景色に色を添えていました。
あちこちの壁に毛糸アート(?)を見かけました。



千住博さんの「ザ・フォールズ」も必ず観たかった作品のひとつで
”石橋”へ行ってみました。
薄暗い蔵の壁一面に描かれた流れ落ちる白い水しぶきが床の漆に映えて
「思わず息をのむ美しさ」というのを体感した思いがします。
大げさではなく、本当に息をのんでしまいました。

”碁会所”も観てとても好きになった作品です。
庭に植えられた本物の五色椿がちょうど咲いていて
畳の上に散りばめた木彫りの花と競演していました。

”護王神社”では神秘的な空間で猫がくつろぐ姿がまた不思議さを醸し出していました。


2日目にも行った山本うどんさんへ再び。
Hさんはボランティアガイドさんおすすめの肉うどんを
私はわかめうどん、美味しかったです。



いよいよ直島を離れる時間が近づいてきました。
荷物を取りにベネッセハウスパークに戻ってひと休みして、港へ。



夕方のフェリーで高松港へ向かいました。



瀬戸内に住んでこの海を毎日見ればこれも”いつもの風景”になるのでしょうか。
きっとまたこの海に会いにゆきたいと思いました。


5日目:
朝早めにグーちゃんで高松を出発して金沢への帰途につきました。

淡路サービスエリアでひと休み。
行きに淡路島を通ったときはタイミング悪く大雨で景色どころではなかったのですが
帰りは良いお天気で明石海峡大橋がとてもきれいに見えました。


6 件のコメント:

たかはしまいこ さんのコメント...

すてきな度のレポートをありがとう!!
直島はぜひ行ってみたいところなので、予習が出来たみたいで嬉しかったです^^。
それにしても、
あのとっても素敵な結婚式が昨日のことのように目に浮かぶのに、もう10周年なんだね。
本当におめでとう!!
価値ある素晴らしい10年であったことは、いまのお二人を見ていれば一目瞭然、なにも言葉は要らないって感じがするよ。
次の10年も、どうぞ思いきり堪能してくださいね。

かえる洋裁店 / Kaëlle Clothing さんのコメント...

たかはしまいこさんへ
長い日記に最後までお付き合いしてくれてありがとうございます!そして温かいメッセージをありがとう・・・。私たちが何か気になっている岡山&直島へ一緒に旅できたらいいね。

Unknown さんのコメント...

結婚10周年おめでとうございます。
ミスター・エースは私もなにかテレビで見た気がする…。
霞む春の海は確かに懐かしいです。たくさんの写真のアップ、ありがとう。

かえる洋裁店 / Kaëlle Clothing さんのコメント...

モルペンさんへ
メッセージをありがとうございます。
「ミスターエース」はたしかに一度見ると心に刻まれてしまうような力がある絵だなと思います。不思議な雰囲気がそうさせるのかな・・・。たくさんの写真にお付き合いしてくれてありがとうございました^_^

Eぞう さんのコメント...

旅行中だったのにメールをしてしまい失礼しました^^;
k間さん作品に元気を頂いて、
もうほんとにいろいろあって沈んでいましたので、エネルギーをもらって涙が出てしまいました・・。(何年かぶりだよ!)
ちなみに返信不要ですよ!
ありがとうございました><

かえる洋裁店 / Kaëlle Clothing さんのコメント...

Eぞうさんへ
コメントをありがとう(^▽^)/”
そうでしたか・・・哀しいときに涙を流すことはこわばっている心体を解放してあげるためにもすごく大切なことだと何かで読んだことがあります。草間さんアートのちからが少しでも応援になったのならほんとうに良かったです!新しい一年が良い一年でありますように・・・いろいろあった分の良いことがきっとやってくるよ!

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