2013年1月16日水曜日

きつねと王子さま

・NHK Eテレの番組で「星の王子さま」が取り上げられていて
 いろんな星を巡っていろんな哀しい人々に出会ったのちに
 地球にやってきた王子さまがきつねとの出会いによって
 絆をつくる大切さに気づくエピソードが紹介されていました。

 きつねが王子さまに語ったその一文をご紹介させていただきます。


 ある存在によって世界の見え方が変わったり大切なものになる。
 なんて美しい表現なんだろう、と思いました。
 
 ”飼いならす”というどちらかというとネガティブな印象をもつ
 言葉が使われて、最初はちょっと不思議に感じました。

 飼いならす:フランス語でapprivoiser(英語では to tame)

 この言葉をどう理解したらよいか、番組のなかで語られていたのは
 相手を受け入れて自分を変える勇気をもつこと。
 そのためには辛抱が必要であること。
 お互いに“飼いならされ合う”ことで
 相手が自分の中に入ってくる、自分が相手の中に入っていく、
 それがないと関係を深めることは難しい。
 影響し合って変化することを楽しむこと。
 サンテグジュペリは時間をかけて絆をつくる大切さを
 あえてこの言葉を使って伝えようとしたのではないか
 ということでした。

 あらためて気づかされたのは
 わたしにとって相手を受け入れるというのは意外に難しくて
 特に年齢を重ねるごとに頑なになってきて
 自分を変えられることに保守的になっている気がします。
 ”飼いならされる”ことが億劫になっていると言えるかもしれません。
 
 私の感動や感じたことがそのように伝えられたかわかりませんが
 この文章との出会いで自分の心持ちがすこし変わった気がします。
 

6 件のコメント:

モルペン さんのコメント...

本は読んだはずなのに、この場面がまったく記憶にない。ここで教えてもらった意味を噛締めながら、まっぺん読みたいです。
今朝、大島渚監督の訃報があり、結婚についてのコメントで「夫婦は二人三脚というけど、片足はそれぞれの自由になる。」といった言葉が、なぜか一瞬髣髴とされました。
Tameといえば、
"Untamed Heart"という映画があり、Untamedの意味が納得できる好きな映画です。邦題は「忘れえぬ人」だったかな。イマイチ、情緒無しのタイトルだな。

きゅうる村 さんのコメント...

あ、この訳というか、言葉に誰しもこだわるのだなあと。「なじみになる」「なかよくなる」という訳をあてる本もあります。
人と動物との交流なんだけれど、この小説は、すべて擬人化された世界といってもいいから、「飼い慣らす」は不自然ですねえ。もう少し、対等の感じを出してもいいかなあ。「友達になる」とか。

たかはしまいこ さんのコメント...

「飼いならす」...なかなか深いね。
私は、そうだな、モルペンさんの書かれた大島監督の言葉を引用させていただくなら、「お互い片足はブラブラで、もう片方ずつはとろけあってぶっとい1本になっちゃった(笑)、みたいな感じも素敵だなと思います。

かえる洋裁店 / Kaëlle Clothing さんのコメント...

モルペンさんへ
何気なく目にしたり耳にしたりした言葉がなぜか心にぐっと残ることってありますね。心の不思議、おもしろいね。
二人三脚の片足を委ねることって、お互いに相手を受け入れる、”飼いならされる”こととも言えるのかも。もう片方も自由だけど完全に自由ではないから、やっぱりお互いの自由を尊重しつつ支えあうということになるのかな。あらゆる人間関係にいえることだなぁと思いました。

かえる洋裁店 / Kaëlle Clothing さんのコメント...

きゅうる村さんへ
翻訳された文章はどうしても訳者の意図が入ってしまいますよね。作者の書いた文章を自分なりに味わうにはやっぱり原語で読み解くしかないわけですが・・・フランス語の壁は高いです(笑)でもいつかは、と思ってちびちび勉強してゆきたいと思います。

かえる洋裁店 / Kaëlle Clothing さんのコメント...

たかはしまいこさんへ
まだじゅうぶんにこのエピソードと自分のことをうまく整理できていないんだけど、いままで気づかなかった自分のこころの一片をつかんだような気がするの。文章っておもしろいね。夫婦に限らず二人三脚の片足がとろけあっちゃってもいいや、と思える人とは一生つながってゆくんだろうね。

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